歯周病治療

歯を失う原因第一位“歯周病”

歯周病は、日本において歯を失う原因の第一位の病気です。20代で約7割、30代で約8割の方がかかっている、もしくはその予備軍とされています。最近では小中学生にも増えているといわれ、大人も子供も注意しなければいけない病気になりました。
歯周病は、歯周病菌が歯茎に炎症を起こし、症状が悪化すると歯を支えている顎の骨を溶かします。初期段階では自覚症状はなく、進行すると「歯茎から血が出る」「歯茎が腫れる」「口臭がする」といった症状が起こり、次第に顎の骨がやせて歯がグラグラし、最終的には歯が抜けて落ちてしまうケースもあります。こうなる前にしっかり歯科医院で歯周病のチェック・治療をし、いつまでも健康な歯を維持しましょう。

歯周病と全身疾患の関係性

歯周病によって引き起こされる症状は、お口のなかだけにとどまりません。歯周病菌が血流に乗って全身をめぐることで、様々なトラブルを引き起こすことが明らかになっています。

糖尿病

糖尿病になると免疫機能が低下し、歯周病にかかりやすくなります。また、歯周病になると、血糖コントロールが困難になり糖尿病が悪化しやすくなります。

心臓病

歯周病菌が心臓の血管に入り込み炎症を起こすと、血栓ができやすくなります。血栓ができると動脈硬化が起こり、心筋梗塞や狭心症などを引き起こすことがあります。

肺炎

歯周病菌が気管に入ると、肺で炎症を引き起こして肺炎になることがあります。

早産・低体重児出産

歯周病菌が体内に入り込むことで筋肉の収縮を引き起こし、早産の原因になることがあります。また、歯周病にかかっている妊婦は健康な妊婦に比べ、早産や低体重児出産の確率が約7倍も高いというデータがあります。

歯周病は適切な治療で治ります

歯周病は一度なってしまったら治らないと思っている方も多いと思いますが、初期段階であれば軽い治療で治すことができますし、進行していても歯周外科処置(再生療法)を行うことで治すことができます。

歯周病の検査

歯周病ポケット検査 「プローブ」というものさし状の器具を用いて、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さを調べます。深ければ深いほど、歯周病が進行しています。
歯の揺度検査 ピンセット状の器具で歯をつまんで動かし、グラつき度合いを調べます。グラつきが大きいほど、歯周病が進行しています。
レントゲン検査 顎の骨の状態をレントゲン撮影で調べます。骨密度が低いほど、歯周病が進行しています。
BML検査 だ液を採取して口腔内の細菌の数や種類を調べることができ、歯周病のリスクを診断します。歯周病菌の検査のほか、虫歯と歯周病を調べる検査もあります。

歯周病の進行段階

進行段階 症状
歯肉炎
歯ぐきに炎症が起きている状態。ブラッシングの際などに出血しやすくなります。歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)の深さは、3mm程度です。
軽度歯周炎
顎の骨が溶けはじめた状態。歯ぐきが腫れ、ブラッシングの際に出血が見られるだけでなく、冷たい水がしみたり、口臭が出たりします。歯周ポケットの深さは、4mm程度です。
中等度歯周炎
顎の骨が半分くらい溶けた状態。歯を指で押すとグラつきます。歯ぐきの腫れや出血に加え、歯が浮くような感じがしたり、口臭が強くなったりします。歯周ポケットの深さは、6mm程度です。
重度歯周炎
顎の骨の3分の2以上が溶けた状態。歯のグラつきがひどくなります。歯ぐきが下がり歯根が露出し歯が長く見えたり、歯と歯ぐきの境目から膿が出て口臭がよりきつくなったりします。この状態を放置すると、最悪の場合、歯が抜け落ちます。歯周ポケットの深さは、8mm程度と非常に深くなります。

歯周病の治療

歯周外科処置
歯周ポケット掻爬(そうは)術
軽度歯周炎に対して行う外科的処置です。歯茎に局所麻酔を行って歯周ポケット内のプラークや歯石、膿、感染した組織を除去します。
フラップ手術
中等度以上に進行した歯周炎に対して行う外科的処置です。局所麻酔をした後に歯茎を切開して顎の骨からはがし、露出した歯根に付着しているプラークや歯石を除去します。また、感染した組織も取り除きます。
再生療法
GTR(組織再生誘導法)
失った骨や歯茎が再生できるように、メンブレンという生体膜を置いてスペースを確保する方法です。再生するスペースに他の軟組織が入り込んで、歯周組織の再生の妨げとなるのを防ぎ、自然再生を促します。
エムドゲイン法
エムドゲインとは、歯が生えるときに重要な役割を果たすたんぱく質を主成分とした薬剤のこと。骨や歯を失った部分にエムドゲインゲルを塗ることで、再生を促します。
リグロス
従来の歯周組織再生療法にはエムドゲインという手法が用いられますが、自由診療のため治療費の負担が大きくすべての患者様が受けられるわけではない、という側面がありました。
この度リグロスという歯周組織再生医薬品が保険適用になり、金銭的負担も少ない新たな治療の選択肢として患者様へご提案できるようになりました。
まだ一部の歯科医院でしか導入をしていない治療法ですが、当院ではいち早く導入することで、より患者様のご希望に添った治療法を提供しております。
豊富な外科治療実績のある医師のもと、治療前に数種類の歯周病の検査をし、正確な診断を行っています。治療方法や治療の進め方をきちんとご説明しご理解・ご納得いただいたうえで、治療を進めます。

歯周病治療例

ペリオウェイブ

歯周ポケット内にある歯周病菌の細胞を破壊し、健康な歯周組織を回復させる方法です。歯周ポケット内にバイオジェルを注入し、レーザー光を照射して患部を光殺菌します。痛みや術後の腫れがありません。ペリオウェイブはインプラント周囲炎にも適用できます。

歯周病治療の流れ

当院の歯周病治療の流れです。多くの患者さんは外科処置や再生療法を行う必要がありませんので、歯のクリーニングなどを行って歯周病の原因のプラークやバイオフィルムなどを取り除く処置を主に行います。それでも治療効果がでない場合や、中等度~重度に進行した場合は、症状を悪化させることもあるため外科処置を行います。

  • Step1歯周病の検査
    痛みの有無、歯の動揺度、歯茎からの出血、歯周ポケット、プラークの付着状況、レントゲン診査において顎の骨の吸収の度合、影響を及ぼす不良な歯並びや咬み合わせなどのチェック
    ※歯周病への原因とされる細菌の有無を調べるBML検査(保険外)もご希望の患者様には行います。
  • Step2治療方針の決定
    検査結果をもとに診断し、患者さんに病状や治療方法などを詳しくご説明します。また、患者-医療者間で治療計画を共有できるよう治療計画書を作成。治療の進め方やスケジュール、費用の概算、保証内容などあらゆる内容を明記したうえで丁寧にご説明します。
  • Step3初期治療
    初期では、主に歯磨き指導や歯のクリーニングなどを行います。また、検査により歯周病の原因菌が特定できた場合、その菌に効く薬も内服していただきます。
  • Step4再検査
    歯磨き指導や歯のクリーニングなどを行った結果、口腔内の改善がみられるかどうかを確かめるために再検査を行います。
  • Step5再治療
    治りきっていない部分、良くなった部分を患者さんに把握していただき、良くなっていない部分は、さらに処置・治療を行います。
  • Step6再検査
    再度検査を行い、良くなっていない部分の再評価を行います。
    ここで状態が改善しているようでしたら、メインテナンスに移行します。
  • Step7外科処置
    歯周病がかなり進行している場合には、外科処置や再生療法を行っていきます。
  • Step8再検査とメインテナンス
    再度検査を行い状態が改善している場合には、メインテナンスに移行します。
    当院では、しっかり検査を行って口腔内の状態を把握したうえで、歯周病の段階に応じた最善の治療をご提案します。また、治療後の健康な状態を保てるように、歯周病になりにくい口腔内環境への改善サポートも行います。歯周病治療から予防・メインテナンスまで、しっかり行いますので、「歯周病かも」と思われる方は一度ご相談ください。